多店舗ジム経営を成功させる「翌月15日」会計チェックへの第一歩
こんにちは。
フィットネス業界専門税理士の mai です。
独立して売上も安定してきた。
「これからは多店舗展開だ」「さらにアクセルを踏んでいくぞ」
そんなフェーズに入っている経営者の方も多いのではないでしょうか。
そこで、ひとつ質問です。
あなたは、自社の会計数字をどれくらいの頻度で、いつ確認していますか?
1店舗目のうちは、
- 会計作業はすべて顧問税理士に丸投げ
- 会計情報が返ってくるのは2か月後
- ひどい場合は「決算のときだけ数字を見る」
というケースも、実は珍しくありません。
1店舗のみで、現金も十分に回っている間は、
それでも大きな問題は起きにくいでしょう。
しかし――
多店舗展開を目指すなら話は別です。
- 気づいたら現金が足りない
- 思ったほど利益が出ていない
- 銀行に融資を申し込んだら断られた
こうした事態は、「数字を遅れて見ている」ことで起こります。
そこで今回は、
- なぜ 会計情報は「翌月15日まで」に確認すべきなのか
- どうすれば 翌月15日までに数字を見られる体制を作れるのか
- 今日からできる具体的なアクション
についてお話しします。
数字を味方につけて、
夢を最短距離で実現する経営を一緒に目指していきましょう。
1.なぜ会計情報は「翌月15日まで」に確認する必要があるのか
結論から言うと、
翌月15日を過ぎた数字は、未来を変える力が一気に弱くなるからです。
理由を3つに分けて説明します。
理由①:打ち手が「まだ間に合う」
翌月15日までに数字を見られれば、
- 売上が落ちている
→ 今月中にキャンペーンや広告調整ができる - 人件費が膨らんでいる
→ シフトや業務委託比率を見直せる - 利益率が悪化している
→ 価格やメニュー構成を修正できる
一方、
翌月末や2か月後に数字を見ている場合、
すでに1か月分、ムダ打ちしてしまっている状態です。
理由②:記憶が新しいうちに「数字と現場」を結びつけられる
翌月15日なら、こんな会話が自然に頭に浮かびます。
- 「あ、この週は体験が多かったな」
- 「この月はトレーナーの欠勤が続いた」
- 「広告を止めたのはこのタイミングだ」
数字と現場の出来事が、しっかりリンクするのです。
しかし2か月後になると、
「……この数字、何が原因だったっけ?」
となり、改善につながりません。
理由③:会計が“他人事”から“経営の武器”に変わる
翌月15日までに数字を確認しようとすると、
税理士への丸投げではなく、自社でも一定の経理作業が必要になります。
これまでは
税理士に言われたから資料を揃えなきゃ
正直、面倒だな……
と、「自分の会社のことなのにどこか他人事」ではなかったでしょうか。
ところが、「翌月15日までに数字を見る」
ことを前提に動き始めると、見え方が変わってきます。
- あれ?この費用、先月より多くない?
- この支出、本当に必要だろうか?
そんな 小さな違和感 に気づけるようになるのです。
この瞬間から、会計は「やらされる作業」ではなく、
経営判断のための情報に変わります。
2. 翌月15日までに数字を把握する「5つのステップ」
それでは、翌月15日までに会計を確認できる体制を整えるために、
なにから始めればいいのでしょうか。
まずは顧問税理士さんに
「翌月15日までに数字を見たい」と相談してみることが一番です。
おそらく、今まで経理業務を税理士に丸投げしていた方は、
部分的には自社で対応しなければならない部分がでてくるかと思います。
税理士事務所によって、やり方は様々だとおもいますが、
会計を確認できるようになるまでの一般的な流れを整理しました。
こういうことが必要になるんだなというイメージを
少しでも掴んでいただければと思います。
【準備編】仕組みを整える
- クラウド会計(マネーフォワードやfreeeなど)を導入する
- 会計事務所との資料のやり取りは郵送→クラウド上に変更する
- 現金払いを廃止し、すべてカード・振込にする
- 請求書・領収書はなるべくデータ(PDF)でもらう
- 紙でもらった請求書・領収書はスキャンか写真を撮ってデータ化
- 仕入・給与等の締め日を「月末」に統一する
- 在庫(プロテインや物販商品等) 棚卸を必ず「月末」に行う
【実践編】実際の作業イメージ
「翌月15日までに数字を見る」と聞くと、
毎日大変そう… と感じる方も多いですが、
実際にやることはそこまで多くありません。
◆【当月中にやること】(1回1〜3分)
領収書・請求書の処理
- 受け取ったら なるべくすぐ
- 税理士事務所と共有しているクラウドへ格納
(紙でもらった領収書はスキャン or スマホで写真を撮ってから) - クラウド内のフォルダを
カード払い | 振込払い | 立替払い と支払手段ごとに分けておくと◎
- 税理士事務所と共有しているクラウドへ格納
- 特に 10万円以上の支出 は必ずクラウドへ
10万円以上の支出はほとんどの会計事務所がチェックするため、
後日、請求されてから書類を探す手間を省きます。
クラウドへ格納しておくことで、
確認したくなったら、検索で探すことが可能になります。
また、税理士もクラウド内を確認できるので、資料請求に対応する手間も省けます。
「月末まとめてやろう」は、資料の格納もれが発生して、
二度手間となり翌月15日締めを崩す最大の原因です。
◆【月初にやること】(30〜60分)
① 売上をまとめる
- レジ・予約システム・売上管理ソフトから
- 月次売上データを出力
- 可能であれば
- クラウド会計と自動連携
- もしくは売上データを会計ソフトに取込めるCSVへ変換 → 取込
CSVへの変換はChatGPTやGeminiを活用
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② 給与を確定させる
- 給与計算を月初に完了
- 給与ソフトとクラウド会計が連携していれば
- 会計側へ自動反映
ー
③ 預金・カード取引を登録する
- クラウド会計と連携済みであれば、取引は自動で取込済
- クラウドに格納済みの請求書・領収書と突合しながら必要箇所は修正
ー
④ 未払の請求書・外注費を登録する
- 業務委託トレーナーや仕入先の請求書を確認
- AI-OCRやCSV取り込みで登録
この時点で、
「先月より外注費・仕入が多いな」
といった 違和感 に気づければ十分です。
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⑤ 在庫(棚卸)金額を登録する
- プロテインや物販商品など
- 月末に確認した金額を登録
ー
⑥減価償却費を登録する
- 減価償却費は税理士が計算しているケースが多い
- 場合によっては税理士に登録を依頼
以上で、大枠の会計作業は完了です。
実務上は、これらの作業を
自社で行う部分 と 税理士事務所に任せる部分 に分担することになります。
その際に最も大切なのは、
「自社もやっていない」
「税理士事務所もやっていない」
という 抜け漏れの項目を作らないこと。
そのためにも、
どこまでを自社で対応し、どこからを税理士事務所に任せるのかを、
あらかじめ明確にしておきましょう。
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一見、煩雑そうに見える会計作業も、
実際に書き出してみると たった6項目程度 です。
確かに、最初は慣れずに時間がかかるかもしれません。
しかし、少しずつ慣れていき、税理士事務所と役割分担ができれば、
「翌月15日の会計チェック」は決して夢物語ではありません。
2. 今日からできる!具体的なアクション
そうは言っても、 「何から手をつければいいかわからない」という方は、 まずこれだけやってみてください。
【現金払いを廃止する方法を考える】
現金払いはクラウド会計への自動連携ができず、別途エクセル等での手入力が必要になります。これが、会計作業が遅れる最大の原因です。
- お客様の支払いをカードか振込に集約する
- 従業員の立替をなくす(規定を設けた上で社員用カードを発行するなど)
自社に合った「脱・現金」の方法を検討するだけで、数字の透明性とスピードは格段に上がります。
まとめ
安定した多店舗経営を行うためには、経営の「異常値」にいち早く気づき、即座に修正していくことが必須となります。
そして、そのためには、会計情報を1日でも早く確認できる体制を作らなければなりません。
店舗数が少ないうちにこの仕組みを作っておけば、今後5店舗、10店舗と増えても、揺るがない経営基盤が整います。
ぜひ、多店舗経営の大きな第一歩として、「翌月15日の会計チェック」をはじめてみてください。

